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企業内コーチ育成のすすめ

※この記事は、㈱帝国データバンク発行「週刊帝国ニュース兵庫県版」に、代表理事・正田佐与が月1回ペースで連載している記事「企業内コーチのすすめ」を、同社神戸支店のご厚意により、転載させていただいています。

第一回 企業内コーチ中国へ行く
第二回 危機感共有を引き出すコミュニケーション
第三回 出店ラッシュを支えたリーダー育成
第四回 カギは「学ぶ」企業と個人
第五回 「オーラのないリーダー」の時代?
第六回 女性活用のコツは?

第七回 やる気のない人をやる気にさせるには?
第八回 リーダーの「叱る力」

第九回 話を聴けない若手、急増中?

第十回 社長が「承認」を学ぶとき
第十一回 「ゆとり世代」を戦力にするコツ

カギは「学ぶ」企業と個人

●深かった日本の傷


「おや、髪をさっぱりされましたね」。

 事務所を訪れた新聞記者さん(男性)が、ばっさり短い髪に。記者さん、頭をつるっと撫でて

「いや、生活防衛です。これだと 3ヵ月髪を切らなくていいものですから」

と苦笑しました。
身の回りでこんな会話が珍しくありません。

「100年に 1度の経済危機」
  比較的傷が浅いと言われていた日本が、実は深手を負っていた、という数字が出ました。

 2月16日、内閣府が発表した08年10~12月期の国内総生産(GDP)速報によると、物価変動の影響を除いた実質GDP(季節調整済み)は前期比3.3%減、年率換算では12.7%減と主要国で最も急激な落ち込みに。

 この数字は、アメリカの同時期の実質GDP(年率3.8%減)、欧州ユーロ圏(同5.7%減)をはるかに上回る落ち方です。

 原因は経済成長を外需に頼りすぎていた、また定額給付金について長々と実のない議論をしすぎた、など諸説あります。

 兵庫県のばあい昨年12月の主要指標では、乗用車販売額が他地域と同様、前年同期比マイナス15.8%。また神戸港の輸出額はマイナス22.0%と急激な落ち込みで、輸出産業の被った痛手をうかがわせます。

  ひところは景気が底を打つのは今年後半ごろとも言われましたが、それはいささか楽観論に過ぎるかもしれません。一説によると世界的な経済停滞は今後15年続くとも言われます。

●外需主導から内需主導へ

  そこで、今から私たちには何ができるのでしょうか。

 冒頭に挙げたような「生活防衛」も大事なのですが、それ以外に、恐らく経済・社会構造を大きく意識的に組み替えていく局面になるだろう、とは想像がつきます。

 まずは外需主導経済から内需主導へ。

 たとえば兵庫県では来年度の予算規模を7.1%拡充し、緊急経済雇用対策の一環として、目標額500億円の「設備更新貸付」を新設、設備更新や社員の教育研修を行う事業者を対象とした融資を行うことを決めたとのことです。不況によりともすれば冷え込みがちな設備投資だけでなく、教育研修をも促進するため予算措置をとったことは評価できます。教育もまた、使いようによっては非常に有効な投資ですから。

「県内事業所にとっても今年は将来への準備期間と位置付けてほしい」と井戸知事。

 さらに、「仕事と生活センター」(仮称)の新設によりワークライフバランス(仕事と生活のバランス)向上などを目指すなどの施策も、今浮上しているワークシェアリングの議論を含め、企業社会の在り方を大胆に組み替えるという方向性を示していると言ってよいかもしれません。

●カギは「学ぶ」ということ  ―地域、そして私たち

 「官」の施策にはありませんが、大きな方向としてはNPOなど非営利セクターの一層の活発化や、地域通貨の流通などもより必要性を増すでしょう。

 個人のレベルでは、やはり一人ひとり自立した個人として、組織に生きるにせよ組織外で生きるにせよ、自分オリジナルの活路を見出すようにしたいものだと思います。これからの時代、どのポジションにあっても必ず安定した道筋というのはありません。組織の限られたパイを奪い合い自分のポジションを安泰にするために、同僚と足の引っ張り合いをするなどは不毛な生き方です。

 ここでカギとなるのは「学ぶ」ということ。

 たとえばここ数年、高い教育レベルで注目されている北欧フィンランドの人々の生き方などはお手本になるかもしれません。何歳からでも「第二の人生」のために学び、社会人の大学院進学率も高く、数年会わなかった友人が勉強してまったく違う職業についていた、ということも珍しくないそうです。フィンランドは1990年代に日本と同様、バブル崩壊を経験し一時期は失業率15%にも上る状態から立ち直った際に、そうした個人の生き方が定着したとか。

 県外の人からみると、兵庫そして神戸はあの震災から立ち直った、いわば「再生」のシンボルなのだといいます。

 「100年に一度」の経済危機が、今企業と個人に大きな苦しみをもたらしているとはいえ、新しい私たちの経済と社会の出発点になるのであれば、それは不幸中の幸いかもしれません。そのために知恵を絞りたいものです。

(帝国データバンク発行 TEIKOKU NEWS 兵庫県版 2009年3月2日号 掲載)

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