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| 企業内コーチ育成のすすめ |
※この記事は、㈱帝国データバンク発行「週刊帝国ニュース兵庫県版」に、代表理事・正田佐与が月1回ペースで連載している記事「企業内コーチのすすめ」を、同社神戸支店のご厚意により、転載させていただいています。 第一回 企業内コーチ中国へ行く |
| 「オーラのないリーダー」の時代? |
●WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は、日本の優勝で幕を閉じました。
「世界の王」から50歳の原辰徳監督へ。チームにはイチロー、松坂といった世界的なプレーヤーが。 一時期の巨人が揶揄されたように、名プレーヤーを集めればよいチームができるというわけではありません。王監督や昔日の長島監督、また星野北京五輪監督とも違う「原スタイル」とは、どんなものだったのでしょうか。この記事の執筆時点( 3月25日)報道されている範囲では、次のようなものです: ( 1)マスコミに出ない 北京五輪での星野監督がメディアに出まくったのとは対照的に、原監督はWBC開幕前も、メディアへの露出は控え気味でした。「主役は選手」を貫いたからだといいます。チームリーダーのイチローに取材の輪ができ、選手同士の交流の輪ができましたが、原監督はチームメイト同士でできるダイナミクスに任せていたようです。 (2)「チームのために」を徹底する 名選手が集えば、チーム運営がぎくしゃくするのは必然。原監督は合宿で「フォア・ザ・チーム」を徹底させ、代表に残れなかった選手でも、「チームのための判断」と語ったといいます。 ( 3)丁寧に選手を見極める 打の中心、村田の太もも肉離れというアクシデントに、「栗原と交代だ」と決断、ロスへ追 ( 4)我慢してイチローを起用 前半戦で16打数無安打と絶不調だったイチロー。彼に関してだけは「別格」で、打順を細かく変えながらも起用し続けました。結果、二次ラウンドからは調子を上げ、決勝・韓国戦での10回表の決勝打につながります。終わりよければすべてよし、ですが、「超」のつく一流選手のもつ回復力や、土壇場での底力を信頼した、ということでしょうか。 イチローの不調はまた、「あの人がだめなら、オレたちがやる!」と、チームメンバーの奮起結束という思わぬ副次効果ももたらしたようです。
楽天の野村克也監督からは、「貫禄がない。眼鏡でもかけたら」と揶揄されたという原監督。決勝の韓国戦でも、相手ベンチの監督が細かく指示を出し、ハッパをかけ、表情を動かしているのに対し、どんな戦況にも身を乗り出したままじっと動かない、表情を変えない同監督の姿は印象的でした。 自らは前に出ず、メンバーを前面に出す、というスタイルは、分野は違えど、名将・清宮克幸監督から早稲田大学ラグビー蹴球部を引き継いだ中竹竜二氏を思い出させます。 指示に従うことに慣れていた選手たちを自ら考える選手に育て上げ、大学日本一に輝いた同氏は、著書『リーダーシップからフォロワーシップへ~カリスマリーダー不要の組織づくりとは』の中で、「日本一オーラのない監督」と自ら名乗り、「リーダーの仕事は、部下の期待に応えることではない」と述べています。部下が10人いれば10通りの「期待するリーダー像」がある。リーダーは 1人しかいないのだから、そのすべてに応える必要はない、と言います。 そして、リーダーは自分のスタイルを確立するとともに「リーダーとして『やってはいけないこと』をやらないことに注力せよ」と勧めます。 イチローが「尊敬する人」と語った王監督の後を引き継いだ原監督。プレッシャーもあったであろうことは想像に難くなく、心理学・脳科学系のものを含め、多くのリーダー論を読んだとも言われますが、この中竹氏のスタイルに似たものを感じるのは私だけでしょうか。 古き良き「強力なリーダー像」への憧れを卒業するとき、チームとメンバーはまた一段階、成長するのかもしれません。(了)
(帝国データバンク発行 TEIKOKU NEWS 兵庫県版 2009年3月30日号 掲載) |
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